[토시키 아오야마] 신형 코로나 바이러스라는 미증유의 위기 때문에, 빈 필하모닉 관현악단의 방일은 위태로운 상황이었지만 관계 각처의 각고의 노력과 빠듯한 교섭에 의해, 일본 공연이 이루어졌다. 이번 방일은 친선 음악대사로서의 의미가 강해 빈 필의 용기있는 결단에 눈물지은 클래식 팬이 적지 않았다.

지난 11월 8일, 세계 최고봉의 오케스트라인 빈 필하모닉 오케스트라의 가와사키 공연을 찾아갔다. 회장인 뮤자 가와사키 심포니 홀은, 전석(1997석) 완매의 초만원으로 활황을 나타내고 있었다.

지휘자는 러시아의 거장 발레리 게르기예프이다. 2004년 이후 16년 만의 조합이었으며, 기타큐슈, 오사카에 이어 3일째 공연으로 프로코피예프의 발레 음악 '로미오와 줄리엣'에서 4곡, 역시 프로코피예프 피아노 협주곡 제2번, 후반에 차이코프스키 교향곡 제6번 비창이라는 올 러시안 프로그램으로 구성되었다.

발레 음악 '로메오와 줄리엣'은 장려한 음악 에마키를 보고 들어가는 듯한 눈부신 아름다움이 인상적이었다. 프로코피에프 자신이 말한 바에 따르면 음악양식에는 고전적인 선, 혁신적인 선, 토커터의 선, 서정적인 선… 네 가지 기본선이 있다고 하는데, 그 모든 것을 빈 필은 완벽하게 표현하고 있었다.

프로코피에프 피아노 협주곡 제2번에서 피아노를 담당한 것은 1998년 차이코프스키 국제 콩쿠르 우승자인 데니스 마투예프. 마투예프는 근골이 융성한 운동선수를 연상시키는 듯한 스타일로, 프로코피예프다운 선율미와 세련된 모더니즘이 어우러진 훌륭한 연주를 보여주었다.

테크닉은 초절기교로 안정감이 뛰어났으며, 연주 종료 직후 재빨리 일어나 청중을 향해 뜨거운 시선을 보냈다. 아마도 본인 스스로도 만족스러운 회심의 연주 짜임새였던 것으로 짐작이 된다. 이에 관객들도 떠나갈 듯한 우레와 같은 박수로 그의 연주를 응대했다.

20분간의 휴식 끝에 후반부는 명곡 차이코프스키 6번 교향곡 비창.

첫 악장은 첫머리의 파곳부터 단단하고 튼튼한 앙상블이 기분이 좋았다. 곡의 묘미를 매우 잘 아는 게르기예프의 지휘에 따라 절망과 환희 사이에서 진폭이 큰 차이코프스키다운 가슴을 찌르는 듯한 감정표현이 일품이었다.

제2악장, 제3악장은 게르기예프 특유의 추진력이 있는 빠른 템포의 연주가 특징적이었다. 비엔나 호른을 대표하는 금관은 부드러운 음색으로 객석을 부드럽게 감싸고 있었다.

제4악장은 특히나 감동적이고, 현악기군의 명연이 백미였다. 절절한 슬픔을 노래한 빈 필의 현악기군 명연에 일부 청중은 눈물을 흘리기도 하였다.

이날의 앙코르는 발레곡 '잠자는 숲 속의 미녀'의 파노라마. 투명감이 뛰어난 연주로, 매우 아름답고, 빈 필이 선사하는 지금 현재의 빛을 나타내고 있었다.

종연 후에는, 관객이 모두 일어서서 게르기예프에에게 스탠딩 오베이션이 주어졌다. 무진층 코로나화에서 미래에 대한 희망의 빛이 되는 명연이었다고 총평할 수 있다.

Wiener Philharamoniker

Date and time
Sunday 8 November 2020
Hall
MUZA Kawasaki Symphony Hall

Performers
Conductor: Valery Gergiev
Piano: Denis Matsuev

Program
Prokofiev: Excerpts from “Romeo and Juliet”, Op. 64 Montagues and Capulets , The Young Juliet, Masks , Romeo at the Grave of Juliet
Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in g minor, Op. 16
Tchaikovsky: Symphony No. 6 in b minor, Op. 74, "Pathétique"

新型コロナウィルスという未曽有さの危機のため、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団の来日は危ぶまれた状況だったが関係各所の大変な努力とギリギリの交渉により、日本への渡航が叶った。今回の訪日は親善音楽大使としての意味合いが強く、ウィーンフィルの勇姿に涙したクラシックファンは少なくない。

11月8日、世界最高峰のオーケストラであるウィーンフィルハーモニー管弦楽団の川崎公演を聴いた。会場であるミューザ川崎シンフォニーホールは、全席(1997席)完売の超満員で活況を呈していた。

指揮はロシアの巨匠ワレリー・ゲルギエフ。2004年以来16年ぶりの組み合わせとなった。北九州、大阪に次ぐ3日目の公演となり、プロコフィエフのバレエ音楽「ロメオとジュリエット」から4曲、同じくプロコフィエフ「ピアノ協奏曲第2番」、後半にチャイコフスキー交響曲第六番「悲愴」というオール・ロシアンプログラム。

バレエ音楽「ロメオとジュリエット」は、壮麗な音楽絵巻を見て入るようなまばゆいばかりの美しさだった。プロコフィエフ自身が語るところによると、音楽様式には、古典的な線、革新的な線、トッカータの線、叙情的な線...4つの基本線があるというが、その全てをウィーンフィルは完璧に表現していた。

プロコフィエフ「ピアノ協奏曲第2番」でピアノを弾いたのは、1998年のチャイコフスキー国際コンクール覇者のデニス・マツーエフ。マツーエフは筋骨隆々スポーツ選手を思わせるような出で立ちで、プロコフィエフらしい旋律美と洗練されたモダニズムが調和した見事な演奏を披露してくれた。

テクニックは超絶技巧で安定感抜群。演奏終了直後、素早く立ち上がり、聴衆の方へ熱い視線で送っていた。満足できる会心の出来だったのだろう。観客もそれに応えるように割れんばかりの盛大な拍手が贈られた。

20分間の休憩をはさみ後半は、名曲「チャイコフスキー交響曲第六番・悲愴」
第一楽章は、冒頭のファゴットから硬めでしっかりしたアンサンブルが心地よかった。曲の妙味を知り尽くしたゲルギエフの指揮により、絶望と歓喜の間で、振り幅が大きなチャイコフスキーらしい胸に突き刺さるような感情表現が見事だった。

第二楽章、第三楽章はゲルギエルらしい推進力がある早いテンポの演奏が特徴的。ウィンナホルンを代表する金管は柔らかい丸みがある音色で客席を優しく包み込んでいた。

第四楽章が感動的で、弦楽器群の名演が白眉。切々と深い悲しみを歌い上げたウィーンフィルの弦楽器群の名演に聴衆は涙した。

アンコールは、バレエ曲「眠りの森の美女」のパノラマ。透明感抜群の演奏で、大変美しく、ウィーンフィルの今の輝きはまばゆいばかりでした。

終演後は、観客総立ちでゲルギエフへのスタンディングオベーションが贈られた。無尽層なコロナ禍にあって、将来への希望の光となる名演だった。